高妻山  (2,353m)

 立ち連なった戸隠表山の端にひときは高く峰頭をもたげている高妻山。深田久弥も高妻山への長い登りは急峻で、実に辛かったと述べている。私が登った日は、さすがに暑く、長丁場のコースで疲れたが、自分の足で念願の山頂に立てた喜びは最高だった。

1.山 行 日     2002年7月27日(土) 天候 晴れ
2.メンバー     クラブメンバー 4名     
3.所要時間    10時間30分   歩行時間 : 9時間 

 【コースタイム】

   5:20          6:45/6:55     8:00/8:05  8:55/9:00  10:20/11:30   12:50             
  戸隠牧場登山口  →  一不動避難小屋  →  五地蔵山  → 八丁ダルミ  →  高妻山  →  八丁ダルミ  →
 
  13:55       14:20       15:50  
  五地蔵山  → 一不動避難小屋  → 戸隠牧場登山口
 

【記録】

 高妻山は戸隠連峰の最高峰である。戸隠は平安朝末期から鎌倉時代の中頃まで栄えた信仰の山で戸隠神社は昔を偲ばせる立派な神社である。修験の山で屏風のように岩壁を連ねる戸隠山の端にひときは高く聳える高妻山。しかしその山頂までの道のりは長く、きついため登る人は意外と少ないと言う。
 

 伊勢崎市を22時に出発。上信道信濃ICで降り、戸隠牧場入り口の駐車場に1時10分に到着し車中泊とした。4時の予定が寝過ごし5時20分に出発。指導員に登山カードを提出し広い牧場の中しばらく歩くと柵がありここから登山道となり大洞沢に出る。沢を左右に渡りながら登ると、標高1500mあたりに滑滝を越えるクサリ場がある。水は少なく足場も悪くない。クサリ場を過ぎると不動滝を見ながらの「帯岩」のトラバースとなる。クサリが縦に取り付けてあり雨で足場が濡れていると滑りやすいので注意して通過したい場所だ。このコース最大の難所とあり慎重に通過する。ここから少し登るとこのコース唯一の水場「一杯清水」があり冷たい水で喉を潤す。沢から外れわずかの急登で戸隠連峰の稜線に出ると一不動避難小屋がある。小屋泊まりで高妻山の登っているのかザックが置いてあった。結構広く10名ほど泊まれる大きさだ。眼下には戸隠牧場やキャンプ場が見える。澄み切った空気が気持ち良い。

  帯 岩

 ここから五地蔵山までは樹林帯の稜線歩きで急登りが続き、二釈迦、三文殊、四普賢と記されたピークを越しながら歩く。途中で高妻山が初めて見えたが、これから辿る登山道は右の尾根を巻き山頂は遥か先に見える。登山道の脇には所々花が咲いていた。ニッコウキスゲ、ヨツバシオガマ、ナデシコ、ゴゼンタチバナ、シモツケソウなどが疲れた体を癒してくれる。五地蔵山の山頂は登山道が平坦になった所に標識があった。小休止して写真を撮る、展望は無い。樹林帯を抜けると期待した風もなく真夏の太陽が照り付け汗が吹き出る暑さだ。

 この先を少し行った場所右手に出ると後方に、なだらかな山容の黒姫山や飯綱山とこれから登る高妻山が正面にドデーン構えて現われた。山頂付近は少しガスがかかっている、五地蔵山から八丁ダルミの鞍部までは緩やかな樹林帯の稜線歩きが続く。

 特に標識は無い八丁ダルミの鞍部に来たら避難小屋に泊まったらしい大学生のパーティーが走るように下ってきた。彼らは元気だ。福岡から来たという元気な老夫婦や奈良と大阪から来て妙高山と火打山に登り今日は高妻山だという単独行氏に出会うのみで、さすがに団体グループはいない。百名山にしては静かな山だ。単独行氏の話だと妙高・火打山は多くの登山者で賑わっていたという。八丁ダルミから山頂までは1時間ほどの急坂が続く、ネマガリダケのササに囲まれた狭い登山道。炎天下で風がない、暑さに足が重く見上げるのが辛くなる急登だ、最後の力を振り絞り一歩一歩ゆっくり登る。山頂からの大展望が待っているガンバレ時々振る返り戸隠山、黒姫山の展望に勇気付けられ登る。

八丁ダルミ

登山道より高妻山を望む

 急坂を登り切るとやがてなだらかな登山道となり十阿弥陀のゴロゴロとした岩の上を歩くと岩が積み上がった狭い山頂に到着した。山頂からは妙高山、火打山、黒姫山、志賀の山々、眼下にはノコギリ状の戸隠山と360°の展望が待っていた。あいにく北アルプスは霞んで見えなかったが、とうとう自分の足で高妻山の山頂に立てた充実感は何物にも変え難いもので、今までの山行では味わえなかった格別な満足感だ。証拠写真を撮り昼食、まずはビールで乾杯、美味かった!

 疲れたのか少し昼寝をし至福の時を過ごす。先客が下山し静かになったので我々も下山する。急坂を慎重に下る。八丁ダルミの稜線を見ると良く登ってきたものだと感心する。疲れた足でのアップダウンはきつい、ゆっくり時間をかけ歩く。五地蔵山を過ぎ一不動避難小屋が見えてきたらホットした。避難小屋の前には多くの登山者が休んでいた。今日ここの泊まるのか、まだまだ登ってくる。 ここから牧場までは1時間30分ほど。一杯清水で喉を潤し「帯岩」滑滝のクサリ場も無事通過、牧場の柵を過ぎればまもなく山行も終わりだ。売店で飲んだ牛乳とアイスクリームが長丁場な山行の疲れを癒し実に美味かった。

妙高山・火打山

山頂直下の十阿弥陀付近




飯綱山を望む

戻る

戻る

山頂にて